夏至(げし)
6月21日は二十四節気では夏至(げし)にあたります。
1年で一番昼の時間が長い日ですね。冬至と比べて5時間ほど昼の時間が長いそうです。
巷では昼の時間が最も長いこの日を、若々しさ、健康、長寿、活動的などのイメージと重ね、多くの記念日が設定されています。
◆国際ヨガの日(万国共通の特別な日)
◆がん支えあい日(長寿への願い)
◆冷蔵庫の日(食べ物が傷みやすい梅雨真っただ中の夏至を選んだ)
◆仕事も遊びも一生懸命の日(活動時間が長いため)
◆スナックの日(夏至に餅を固くして食べる「歯固め」の風習から)
◆太陽光発電の日(日照時間が長い)
など
いくつご存じでしたか?
夏至って、活動的で特別なイメージなんですね(^^♪
乃東枯 (なつかれくさかるる)
また、6月21日から25日頃までの季節を七十二候で乃東枯 (なつかれくさかるる)といいます。
乃東(なつかれくさ)は、シソ科のウツボグサの古名。
ウツボグサは薬草としても知られ、生薬名は夏枯草(カゴソウ)。
文字通り夏のこの時期から枯れ始める植物。
一方、最も日照時間が短い冬至(とうじ)から始まる季節は「乃東生(なつかれくさしょうず)」
冬至の頃に目を出し始め、夏至の頃から枯れ始めるという半年周期を繰り返す植物として古来認識されていたんですね。
大正時代の国民的歌人、若山牧水の「白梅集」という歌集の中にウツボグサをが次のように詠まれています。
秋草ときけばいとしく醜草(しこぐさ)の うつぼ草さへ すてがてにする
(秋草と聞けばいとおしい、つまらない草のうつぼ草でさえ捨てがたくする)
「白梅集」 若山牧水
「白梅集」は牧水と妻・喜志子の共著でこの歌は喜志子の歌。
牧水の妻、喜志子が「醜草(しこぐさ=みにくい草・つまらない草)」と詠んだウツボグサ。
一見地味できれいとはいい難い植物に、特別な季節の移り変わりを重ねたのは、やはり薬草として人の暮らしの中で特別な存在だったからではないかと想像をめぐらせるのです。
薬草としてのウツボグサ
【植物名】ウツボグサ
【学名(ラテン名)】:Prunella vulgaris L. subsp. asiatica (Nakai) H.Hara
【科名】シソ科
【別名】カゴソウ(夏枯草)、カコソウ、ジビョウグサ、チドメクサ
【和名】空穂草、靫草、靭草
【生薬名】夏枯草
【花期】6~8月
【採取時期】8月初旬褐色になり始めた花穂を摘み取り日干し
【薬用部位】花穂
【薬効と用法】
利尿、消炎作用あり、膀胱炎や腎炎に煎服。煎じた液で口内炎や扁桃炎にうがい、また結膜炎に洗眼。
3~4月の新芽を塩ゆでして水にさらし、和え物や煮浸しに。
『ウツボグサ』の名前の由来は、褐色になった花穂が弓を入れる武具の『靭(うつぼ)』に似ているため。