薬草はなぜ体に良いのか

薬草はなぜ体に良いのか

2023年9月12日
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薬草はなぜ体によいのか

なぜ薬草が体に良いのかという疑問に対して、勉強してきた範囲で私なりの見解を述べたいと思います。

チンパンジーなどの動物が体調不良時にある特定の植物を薬として利用することからも推察できるように、おそらく人類も有史以前から本能的に薬草を利用してきたと考えられます。

ではなぜ、薬草は人の不調を整える働きをもっているのでしょうか?

その答えは、「動かない」生き方を選んだ植物の側に立って考えればなんとなく理解できます。

動かない植物の生きる道

動かない植物は、動物のように自ら動いて食事をしたり、外敵に対して力づくで攻撃したり防御したりすることができません。

そのため、植物は光合成によって自らが作る栄養素で成長し、堅い構造でガードを固め、薬や武器に相当する物質を産生して生命を維持しています。

光合成で作られる栄養素の大部分は糖、たんぱく質、脂質、核酸など植物間で普遍性がある栄養素で、一次代謝物と言われます。

また、植物は成長に必要な一次代謝物以外にも、ごく少量、自らを癒す外敵に対抗する武器に相当する物質も産生します。

その薬に相当する物質の代表がポリフェノール武器に相当する物質の代表がアルカロイドです。

これらの産生物質は植物間で多様性、特異性があり、二次代謝物と呼ばれています。

この二次代謝物こそが薬草の効能を特徴づける物質であり、逆に言えば、効能が異なる多様な薬草が存在する理由でもあります。

以下に代表的な二次代謝物、ポリフェノールとアルカロイドについて解説いたします。

植物の薬は人にも薬

ポリフェノールはベンゼン環に複数の水酸基が結合した化合物の総称で、ほとんどの植物が持つ苦味、渋味、色素の成分です。

ポリフェノールの一種 クロロゲン酸

多くは水溶性で細胞の液胞内に蓄えられ、花色や水分保持のほか、紫外線による障害、昆虫や動物による食害、病原微生物からの防御など多くの役割を持つ多機能分子です。

総じて、植物にとっては自らを治療する薬として機能します。

植物は成長に必要な一次代謝物を多く産生する必要があり、二次代謝物は多く産生できません。

そのためポリフェノールのような1つで多機能な分子を産生する傾向があるようです。

一つの薬草が複数の効能をもつことが多いのも、ポリフェノールのような多機能の分子が多成分で作用するためと考えられます。

ポリフェノールが人の体内に取り込まれた時、抗酸化作用、抗炎症作用、がん予防、美肌効果、動脈硬化予防などの多彩な良い影響を及ぼし、植物にとっての薬が人にも薬として作用します。

植物の武器は人に毒、少量で薬

アルカロイドは植物中に存する窒素を含む塩基性化合物の総称です。

アルカロイドの一種 カフェイン

窒素を含む化合物は一般に生理活性が強く、現在、上市されている医薬品の約7割が窒素化合物と言われています。

この生理活性の強いアルカロイドは捕食する動物や人に対して毒として作用し、時にトリカブトのような致死性の猛毒をもつこともあり、植物の武器として機能します。

しかし、人はこの毒でさえ、ごく少量使ったり、加工して弱毒化にしたりして薬として利用してきました。

植物の武器は人にとっては毒、少量でとして利用されています。

コーヒーの場合…

コーヒーノキを例にとると、

クロロゲン酸などのポリフェノールは、コーヒーノキにとっては抗酸化作用や抗菌作用もった薬として機能し、人にとっては美肌効果、動脈硬化予防、認知機能改善などの薬として作用します

一方、カフェインなどのアルカロイドは植物にとっては捕食者に対する武器として働き、人にとっては多量では胃腸障害などの毒、少量では覚醒作用、利尿作用などの薬として働きます。

カフェインは人にとって毒なので、尿から排除しようする働きが、利尿効果となって発現すると考えられています。

植物はガードが堅い

植物は堅い細胞壁をもち、堅い葉、樹皮、鋭いとげを形成します。

ガードが堅い分、動物より病気になる確率が少ないとされます。

人が植物の栄養や機能性成分を摂取するには細胞壁を壊す必要があります。

このため薬草は昔から、煮る、煎じる、すりつぶすなどの方法で利用されてきました。

料理にした場合も煮汁まで飲んだ方が体によい成分をより多く取り込むことができますね。

タラノキ

まとめ

一つの薬草にも多彩な薬効があって合理的にとらえるのが難しい(下図参照)ですが、植物の側に立てば納得できる部分がありますね。

毒成分の少ない薬草であれば、薬効を過度に気にせず、ポリフェノールなどの良い成分を気軽に摂取する気持ちで食材や茶材として利用することを私はお勧めしています。

また、薬草ではビタミン、ミネラルなどの野菜では不足しがちな栄養素も豊富に摂取できます。

ヨモギ、ドクダミなどの毒性が少ない薬草を数種類覚えて、生活に取り入れてみることから始めてください。

なお、この記事は今後、私の習熟度に応じてアップデートしてまいります。現時点で記事内容に誤った部分がございましたら、コメントやお問い合わせで、ご指導いただけますと幸いですm(__)m

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